一気読みせずにはいられない! おススメ小説『少女葬』櫛木 理宇 (著)

【PR】本ページはプロモーションが含まれています

著者:櫛木 理宇

1972(昭和47)年、新潟県生れ。2012(平成24)年『ホーンテッド・キャンパス』で日本ホラー小説大賞読者賞を受賞し、デビュー。同年、『赤と白』で小説すばる新人賞を受賞。『ドリームダスト・モンスターズ』シリーズや、『死刑にいたる病』『209号室には知らない子供がいる』『鵜頭川村事件』など著書多数。

新潮社

あらすじ

一人の少女が壮絶なリンチの果てに殺害された。その死体画像を見つめるのは、彼女と共に生活したことのあるかつての家出少女だった。劣悪なシェアハウスでの生活、芽生えたはずの友情、そして別離。なぜ、心優しいあの少女はここまで酷く死ななければならなかったのか? 些細なきっかけで醜悪な貧困ビジネスへ巻き込まれ、運命を歪められた少女たちの友情と抗いを描く衝撃作。『FEED』改題。

新潮社

感想

 Kindle Unlimitedで読んだ初めての作家の作品。タイトルになんとなく惹かれて選んでみたけど、物凄い勢いで引き込まれ、どうしても先が知りたくて一気に読んでしまった。こういう作品に出会えるのは、やっぱり「Kindle Unlimited」ならではと思う。本屋さんでの素敵な出会いもたくさんあるけど、本屋さんだったら選ばないだろうなぁ。という作品を気軽に読めるところが嬉しい。

 物語はショッキングな写真から始まる。リンチといってちょっと想像するよりもずっと残酷で無残な死体の描写が生々しい。すぐに読者は、何故この少女は、こんな惨い死を迎えることになったのか?何をやらかしたのか?ということが強烈に知りたくなる。そして、その画像を見つめる女性との関係も……。

 16歳の家出少女、綾希は、不潔で私物が盗まれても当然というような、シェアハウスに必死で節約しながら貯金を崩しながら生活している。すぐにでも働きたいけれど、家出してきた少女にまともな働き口はない。
 このシェアハウスの生活がとにかくきつい。一日だっていられそうもない。人間関係も面倒で、ますます悪くなっていく。そんな環境に慣れつつ、周囲を冷ややかに見ながら日々を送っている綾希。そんな時、同部屋に同い年の眞実が移ってくる。人と距離を置いていた綾希だったが、眞実とは親しくなっていく。一時は、同じ地点にいたように見えた二人の少女が徐々に離れていき、決定的なところまで到達してしまう。

 いつの時代も弱者を食い物にするビジネスはあるという事実。その残酷さを改めて突き付けられる。自分もいつ弱者になるかもしれない、他人事ではないということ。そこには恐ろしく残酷な人達が待ち受けているという恐怖をまざまざと感じさせられた。この本の中にでてくる無常な言葉が心に残る。

馬鹿は罪、弱いのも罪。

「少女葬」

 終盤にいくほど、二人の少女の人生がの明暗がくっきり描かれ、どんどん切なさを増してく。同じ環境にいた少女二人の人生を分けたのは何なのか?
 最初は、馬鹿なふりして、自分の気持ちをだまし続け、楽に見える方を選んだから…..と考えた。けれど、それは後付けだから言えること。ビジネスでも最後は「運」というけれど、自分ではどうしようもない「運」というものについて考えさせられる。

 一気に読んだ後もいろいろ考えてしまい、かなり引きずる小説だった。驚くほど物語に引きずり込まれ、レアな読書体験が味わえる。「今日は一日読書するぞ!」と思うような日に一気に読んでみて欲しい一冊。

Kindle Unlimited 読み放題期間が終了している場合もあります。ご了承ください。