原題 | Capote |
監督 | ベネット・ミラー |
出演 | フィリップ・シーモア・ホフマン, キャサリン・キーナー, クリフトン・コリンズ・Jr |
上映時間 | 1時間54分 |
製作国 | アメリカ |
製作年 | 2005年 |
ジャンル | ドラマ |
あらすじ
1959年、カンザス州の小さな町で、一家4人が惨殺されるという事件が起こった。この事件に興味を持ったカポーティは、幼馴染の女性作家ハーパー・リーと共に現場に取材しに行く。この事件を題材に小説にしようとしたカポーティは、取材中に死刑囚ペリーと友情が芽生え始める。死刑執行により小説を早く完成させたい自分と、親しくなった死刑囚を助けたい気持ちが大きく揺れ動き、精神的に疲弊していく。
感想
主演のフィリップ・シーモア・ホフマンこの作品でアカデミー主演男優賞を受賞。その後、2014年に46歳で亡くなっている。フィリップ・シーモア・ホフマンとえば、嫌な奴のイメージがあって、「レッド・ドランゴン」での記者役が印象に残っていた。その頃よりもずいぶんと痩せて、話し方なんてカポーティそのものになっていてビックリした。そっくりにマネている感じではなくて、とても自然だった。繊細な表情は、カポーティもこの場面では、こういう表情をしていたんだろうな、と思わせた。
以前、紹介した映画「トルーマン・カポーティ 真実のテープ」の中で、想像するしかなかった、小説「冷血」を仕上げるにあたってのカポーティの苦悩をそのまま見せてくれたような映画だった。
カポーティは死刑囚ペリーとは、かなり親密な関係を築いたという。「トルーマン・カポーティ 真実のテープ」では、愛していたという証言もあった。二人には、共通点がある。背が低いことと親に捨てられたこと。そんな二人についてカポーティは、「同じ家で生まれた。一方は裏口から、もう一方は表玄関から出た。」と表現している。
ペリーは、死刑が近づくにつれて、カポーティに助けを求め、カポーティをどんどん追い詰めていく。カポーティは、本は出版したいし、そのためには死刑が執行されないと小説が終わらない。彼らを自分の小説のために利用し、殺したように言う人たちもいる。けれど、ペリー達もカポーティを利用しようとしていたし、それを十分理解しながらカポーティも彼らに嘘をつく。自分の行為の醜悪さを自覚しながら、いちいち傷ついていたことがわかる。自分を痛めつけつつ、あのような傑作を残したことは、偉業としかいいようがない。フィリップ・シーモア・ホフマンの演技は、その苦悩が見ているこちら側も苦しくなるほどに表現されていた。最後の面会の涙は予想外だったとか。フィリップ・シーモア・ホフマンとカポーティは、どこか人並外れた繊細な感受性を共有できていたような気がする。
「トルーマン・カポーティ 真実のテープ」を観てから、この作品を観て欲しい。そして、その後に小説「冷血」読む。この順番がおすすめ。カポーティがどのような人で、どのようにして、あの傑作を描いたかを深く味わいながら楽しめると思う。
本ページの情報は2023年12月時点のものです。最新の配信状況はU-NEXTサイトにてご確認ください。