デイヴィッド・リンチ監督の異色作！おすすめ映画『ストレイト・ストーリー』

あらすじ

1994年NYタイムズに掲載された実話に基づいた作品
アメリカ・アイオワ州に住む73歳の老人アルヴィン・ストレイト。娘のローズと二人で暮らしている。ある日、長年、仲違いしていた兄のライルが倒れたという連絡が入る。アルヴィンは、560キロ離れたウィスコンシン州の兄の住む町へ行くことを決意。目が悪いアルヴィンは車の運転はできない。でも人には頼りたくない。そこで考えた移動手段は、なんと時速８kmの芝刈り機。アルヴィンの長い旅が始まる。

感想

　まずは、あの「デヴィッド・リンチ」の作品？と疑いたくなるような、穏やかで優しい作品。過激な描写や訳が分からないようなことは何もない。でも、最初の音楽と田舎の風景は「ツインピークス」のオープニングを思い出させるし、庭のシーンは「ブルーベルベット」に出てくる庭っぽい？　そして、デヴィッド・リンチ監督作品でお馴染みの「エヴェレット・マッギル」（ツインピークスでのエド役）や「ハリー・ディーン・スタントン」などが登場する。それにデヴィッド・リンチは、老人好き。よく作品の中にゆっくりと歩く老人のシーンなどを取り入れている。こうやってデヴィッド・リンチっぽいところを探すのもまた楽しい。
　この作品を「ロスト・ハイウェイ(1997年)」と「マルホランド・ドライブ(2001年)」の間に製作したのかと思うと振り幅の大きさに感動してしまう。さすが鬼才。

　アルヴィンを演じた主演のリチャード・ファーンズワースは、「赤毛のアン」のマシュー役や「ミザリー」の保安官役などで印象に残っていた俳優さん。そのリチャード・ファーンズワースの奥深い表情がこの映画の一番の魅力だと思う。トコトコと時速8kmでの芝刈り機での移動。トウモロコシ畑と音楽のシーンが長ーく続いてもアルヴィンの表情を見ていると不思議と全然飽きず、のんびりとした気分で楽しく観ていられる。途中で出会う魅力的な人々との温かい交流や何気ない会話ひとつひとつが心に染み入る。娘役のシシー・スペイセクもとても良かった。その愛しい娘を見つめるアルヴィンの表情がまた良い。
　限りなく少ない会話のラストシーン最高過ぎる。この二人にしか表現できない。表情を見ているだけでジーンと涙が出てくる。素敵な映画観たなぁとしみじみと嬉しくなるような作品。デヴィッド・リンチ好きでもそうでなくても楽しめる、何度でも観たい映画。今ならU-NEXTで無料で観られます。
　この作品が好きな人は、兄役のハリー・ディーン・スタントン主演のこちらの作品もおすすめ。デヴィッド・リンチも俳優としてメチャメチャいい味だしてます。

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