小説『殺戮にいたる病』 我孫子 武丸(著)

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ラストページで思わず声が出てしまった衝撃作!

永遠の愛をつかみたいと男は願った―。東京の繁華街で次々と猟奇的殺人を重ねるサイコ・キラーが出現した。犯人の名前は、蒲生稔!くり返される凌辱の果ての惨殺。冒頭から身も凍るラストシーンまで恐るべき殺人者の行動と魂の軌跡をたどり、とらえようのない時代の悪夢と闇を鮮烈無比に抉る衝撃のホラー。叙述ミステリの極致!

出典元:講談社BOOK倶楽部
  • 著者:我孫子 武丸
  • 発売年:1996年

感想

 こちらは叙述トリックで有名な作品。Kindle Unlimitedで読めた。発売が1996年とかなり古いけど特に違和感なかった。タイトルからして強烈だけど、犯人の殺人を犯してからその後の異常な行動までも細かく描写されていて、スプラッター映画を見ているようなかんじ。でも、映画では表現しにくい犯人の異常な行動にかりたてる心理描写はフィクションではないように感じるほど真実味がある。これを読んでいてアメリカの有名なシリアルキラー、テッド・バンディを思い出した。彼もこういう心理に近いのかもと思った。

 何故俺だけがこんな目にあわなければいけないのだろう。頭がからっぽで、真の愛のなんたるかも知らないような連中は能天気に生きているというのに、この俺は、愛に目覚めてしまったがゆえにこんな苦しみを味わわなければいけない。不公平だ。俺はこうして、いつまでもいつまでも永遠に愛を失い続けなければならないのだろうか。

引用元:「殺戮にいたる病」

 息子の犯行を疑って、息子の部屋を調べる母親、被害女性の妹と被害女性が好意を寄せていた元刑事などのストーリーで飽きることなくどんどん読み進めていくと衝撃のラストに!
 本当に「えっ!!」と声がでてしまった。頭の中が混乱して今まで積み上げてきたストーリーを修正していかなきゃならない。それでもまだいまひとつわからないので考察サイトをみてみる。すると「これも」「これも」伏線だったということがわかる。確かに引っかかった部分もあるけれど、思い込みのほうが勝ってスルーしてしまっていた。こんなに最後の最後の1行でひっくり返して、読者を呆然とさせる力のある小説ってすごいなぁと思う。
 残酷描写がかなりきついので、どうしても苦手という人以外はこの衝撃を是非味わって欲しい。

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