実話をもとにしたおすすめ 映画『リチャード・ジュエル』

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  • 原題 : Richard Jewell
  • 監督:クリント・イーストウッド
  • 出演:ポール・ウォルター・ハウザー, サム・ロックウェル, キャシー・ベイツ
  • 上映時間 :2時間11分
  • ジャンル:実録ドラマ
  • 2019年(アメリカ)

あらすじ

1996年7月27日、警備員のリチャード・ジュエルはアトランタ五輪の会場近くの公園で爆発物を発見した。リチャードの通報のお陰で、多くの人たちが爆発前に避難できたが、それでも2人の死者と100人以上の負傷者を出す大惨事となった(避難の最中に心臓発作で亡くなった人間も出た)。マスメディアは爆発物の第一発見者であるリチャードを英雄として持ち上げたが、数日後、地元紙が「FBIはリチャードが爆弾を仕掛けた可能性を疑っている」と報じた。それをきっかけに、マスメディアはリチャードを極悪人として糾弾するようになった。また、FBIはリチャードの自宅に2回も家宅捜索に入り、彼の知人たちにも執拗な聞き込みをするなど常軌を逸した捜査を行った。ジュエルはかつての職場で知り合った弁護士ワトソン・ブライアントを呼び出し、彼と共にこの理不尽な状況と対峙していくことになる。

ウィキペディア

感想

 プライムビデオで☆4つだったので、なんとなく見てみたが、すごくよかった。クリント・イーストウッドが監督というのもエンドロールで知った。とにかく様々な怖さを感じる映画だった。ひどい爆発事件が起きて、その後にこんな目にあった人が実際にいたのかと…..

 アトランタオリンピックの中止をなんとしても避けるため、犯人をすぐにあげたいFBIと、とにかくいつもスクープを探している野心まるだしの女性記者の犠牲になってしまったリチャード・ジュエル。彼は人々を救った英雄としてテレビでインタビューを受け、その受け答えも謙虚で素晴らしい「英雄」に映る。それが一転、孤独な爆弾犯の犯人像に一致するということになり「偽りの英雄」とされてしまう。
 怪しいと思い始めるとリチャードの全てが怪しくなる。法執行官への異常な憧れや過去に犯した騒動の数々は目立ちたがり屋だったためで、この事件を犯しかねないように見えてくる。マスコミに家を包囲されて連日流れてくるリチャードに関するテレビや記事を見て、自分もリチャードは怪しいと感じてしまうのかもしれないと思う。FBIが家宅捜査までしてマスコミが騒いでいるのも何か証拠があるからなんだと。マスコミが「英雄」と称えれば、そう思い、「怪しい人物」と報じればそう思う。マスコミの報道に簡単に操作されてしまって無責任に人を判断している怖さを思った。
 この作品で無実にもかかわらず、メディアリンチに遭ってしまった、被害者側の地獄の状態がよくわかる。突然、訳のわからない混乱した状況に置かれ、無実を訴えて続けても誰にも届かない、悔しさ、辛さ。ちょっとした不運で同じような立場になる可能性は誰にでもあるという怖さ。この映画を見ると、なんとなく報道を見て、なんとなく人を判断していることに反省したくなる。人を判断する時は、一旦、先入観を捨てて極めて慎重にしなくてはならないということを教えてくれる。
 本人そっくりだという、リチャード・ジュエルを演じたポール・ウォルター・ハウザー、母親役のキャシー・ベイツ、弁護士ワトソン役のサム・ロックウェル、3人の演技は見ごたえ抜群で最後はとても感動して涙がでた。

 一見、派手さに欠けるし、あまり惹かれない作品かもしれないが、意識的にも無意識的にも情報にさらされている日々を送っている中、ふと立ち止まり考えさせられる作品なので是非おすすめ。

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