ヴェネチア国際映画祭 審査員グランプリ受賞作品 おすすめ映画『ノクターナル・アニマルズ』

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  • 原題 : Nocturnal Animals
  • 監督:トム・フォード
  • 出演:エイミー・アダムス, ジェイク・ギレンホール, マイケル・シャノン、アーロン・テイラー=ジョンソン
  • 上映時間 :1時間56分
  • ジャンル:サスペンス
  • 2016年(アメリカ)

◇アカデミー賞:助演男優賞ノミネート( マイケル・シャノン)
◇ゴールデングローブ賞:助演男優賞受賞(アーロン・テイラー=ジョンソン)
◇ヴェネチア国際映画祭:審査員グランプリ

あらすじ

【あらすじ】スーザンは夫とともに経済的には恵まれながらも心は満たされない生活を送っていた。 ある週末、20年前に離婚した元夫のエドワードから、彼が書いた小説「夜の獣たち(ノクターナル・アニマルズ)」が送られてくる。彼女に捧げられたその小説は暴力的で衝撃的な内容だった。才能のなさや精神的弱さを軽蔑していたはずの元夫の送ってきた小説の中に、それまで触れたことのない非凡な才能を読み取り、再会を望むようになるスーザン。 彼はなぜ小説を送ってきたのか。それはまだ残る愛なのか、それとも復讐なのか――。

引用元:FilMarks

感想

 ファッションでデザイナーでもあるトム・フォード監督作品。最初から度肝抜かれる映像から始まる。アートギャラリーのオーナー、スーザンはリッチなハンサムな夫と豪邸に暮らしている。その夫との関係があまりうまくいっていない。そんな中、大学院時代2年ほど結婚していた、元夫エドワードから送られてくる小説。この小説の映像化の部分がそこら辺のホラー映画より怖くてドキドキする。父親のトニー、妻と娘3人で夜中に車で長距離移動中、若者にあおり運転され、からまれてしまう話。元夫のエドワードと小説の中の父親、トニーを ジェイク・ギレンホール、小説の中の母親ローラを アイラ・フィッシャー(グランドイリュージョンでセクシーなマジシャンとして出演)が演じている。携帯の電波も届かない、他の車も通らない、誰にも助けを求めることができない状況で質の悪い連中にねちねち絡まれる家族の恐怖がリアリティあり過ぎる。若者の一人、アーロン・テイラー=ジョンソン演じるレイは、何をしだすかわからない感じが本当に怖い。スーザンはこの小説に一気に引き込まれ、元夫との日々を回想する。

 私は彼の才能を信じず、ひどい仕打ちをした。決して許されないことを。

 この映画は、現在のスーザンの生活、小説の中のストーリー、エドワードとの日々の回想という3つが軸となって進んでいく。
 小説の父親、トニーは弱い。うまく立ち回ろうとするが、結局、妻と娘を若者に連れ去られてしまい、悲惨なことに。このトニーは誰を象徴しているのか?答えは監督自ら語っているようだ。トニーの大切なものを守り切れない弱さ。元夫エドワードはこう言っている。

誰かを愛したら努力すべきだ。
簡単に投げ捨てるな。大切にしろ。
失えば2度と戻らない。

 小説を読み進めるにつれ、エドワードに会いたくなるスーザン。そしてラストシーンになるのだけど…最初に観たときは、当然の報いだと思った。ざまあみろというかんじ。そんなに都合よくいくわけないだろうと。でも2度目は少し違った。あの場に留まり続けていたスーザンは、本当の自分の罪の深さを理解し、罰として、あのみじめな状況に甘んじて身を置いていたのではないかと。人の心を深く傷つけてしまうことの怖さ。若さも言い訳にならない。そして、ひどく傷つけてしまうことも傷つけられることもどちらの立場にもなりえる。そんなことをひしひしと感じた。見るたびに深く感じることができる作品なのかもしれない。
 映像もさすがスタイリッシュ。深紅の色が印象的だった。カーテン、ソファ、壁などに効果的に使われている。出てくるアート作品もいろいろ象徴されているそうで、またその辺りも楽しめる。

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本ページの情報は2023年12月時点のものです。最新の配信状況はU-NEXTサイトにてご確認ください。