断然おすすめ映画『ラッキー』「孤独」と「一人」は同じじゃない。

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原題Lucky
監督ジョン・キャロル・リンチ
出演ハリー・ディーン・スタントン, デヴィッド・リンチ, ロン・リビングストン, エド・ベグリー・ジュニア
上映時間1時間28分
製作国アメリカ
製作年2017年
ジャンルドラマ

あらすじ

神など信じずに生きてきた90歳のラッキーは、今日もひとりで住むアパートで目を覚まし、コーヒーを飲みタバコをふかす。ヨガを5ポーズ、21回こなしたあと、テンガロンハットをかぶり、行きつけのダイナーにでかけることを日課としている。店主のジョーと無駄話をかわし、ウェイトレスのロレッタが注いでくれたミルクと砂糖多めのコーヒーを飲みながら新聞のクロスワード・パズルを解くのがラッキーのお決まりだ。そして帰り道、理由は分からないが、植物が咲き乱れる場所の前を通る際に決まって「クソ女め」とつぶやくことも忘れない。
ある朝、突然気を失ったラッキーは人生の終わりが近づいていることを思い知らされ、初めて「死」と向き合うが ― 

映画『ラッキー』公式サイト

感想

 U-NEXTに加入してから、ずっと前から観たかった映画やもう一度観たかった映画まで、いろいろ楽しんでいるが、なんといっても「ツイン・ピークス」シリーズが見られたことが最高に良かった。シーズン1~2,映画版を見て復習し、やっと「ツインピークス・リターンズ」を観終わった。予想以上におもしろくて、おもしろくて数日寝不足続きになった。やっぱりデヴィッド・リンチ監督はすごい。本当にすごかった。
 「ツインピークス」シリーズは、また別の機会に紹介するとして、本作「ラッキー」の90歳主演俳優、ハリー・ディーン・スタントンは、ツイン・ピークスにトレーラーハウスの管理人カールとして登場している。映画版でもいい味をだしていたけど、リターンズで轢き逃げシーンを目撃した時の演技が心にずーんと残るものだった。そして、リターンズでのデヴィッド・リンチ監督の演技もとてもよかった。ゴードン役の表情がマリア様みたいに(ちょっと変な表現だけど)慈悲深い。その二人が出演、そしてハリー・ディーン・スタントンの遺作となってしまった映画ということで観てみた。監督は、俳優のジョン・キャロル・リンチで本作が初監督。ジョン・キャロル・リンチは、「ファーゴ」や「ゾディアック」など多数出演。名脇役で知られている。私は、「ゾディアック」で限りなく犯人に近い役が印象に残っている。

 一人暮らし90歳ラッキーのルーティンをずっと見ているような物語。これといって大きな出来事はなく、さざ波のよう。それなのに何故こんなに心に響くのか?ラッキーは、愛想もなく口が悪いけど、周囲の人たちと仲良くやっていて、寂しそうではない。その淡々としている姿に憧れる。ラッキーみたいな日常もいいなぁと思わせる素敵な空気が流れている。ずっと健康だったラッキーは突然倒れたことにより「死」について考え始める。そして、ラッキーの出した答え…..。死ぬのは90歳のラッキーだけじゃない。ラッキーの周りの人たちもラッキーの映画を観ている私たちも、生まれたばかりの赤ん坊でさえも、いつか必ず死ぬ。みんなみんな必ず「無」になる。その時、どうするか?

 この言葉は一生に残る言葉になるだろうな。これから年をとるにつれ、一層思い出すような。なんとも心に残る映画だった。亀について熱く語るデヴィッド・リンチがよかった。なんといってもハリー・ディーン・スタントン。彼のこの演技が観られたことが嬉しい。監督のインタビューでハリー・ディーン・スタントンが歌い出すシーンがあるのだけど、彼はもう一度やらせて欲しいと願い出たとのこと。そのこだわりのラッキーが歌うシーンは必見。
 1時間28分という長さの映画なので2度は観て欲しい。2度目のほうが余計心に深くささる。本当に素敵な映画だった。これからも何度も観たいと思わせる作品。

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