エッセイ『帰ってきた日々ご飯⑤』 高山なおみ(著)

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感想

 Kindle Unlimitedで読めた。料理家 高山なおみさんの人気の日記エッセイ。前の部分を読んでいないけど十分楽しめた。高山さんの文章は日常が特別なものに見える。感性豊かに生活しているんだなぁと思う。
 この日記の時期は夫スイセイさんと別居をするために引っ越し準備などをしている時期。吉祥寺の家は引き払って、スイセイさんは山の家へ、高山さんは神戸へ。雑誌で神戸のお部屋の紹介を見たことがあって、高山さんらしいかんじで心地よく暮らしてそうだった。でも、そうなるまでの葛藤がこの本で垣間見える。
 これからのひとり暮らしへの心細さや不安が波のように大きくなったり小さくなったりしながらも、それを乗り越えてでも「どうしてもやってみたい」という気持ち。

このお腹の中にある気持ちだけを信じて、誰かを頼りにするんじゃなく、自分の足で立ち、歩き、空気の匂いを嗅ぎ、景色や人をよーく見て、音を聴き、ごはんを作って食べ、お風呂に入って、眠ろう。

引用元:帰ってきた日々ご飯⑤

 別居が決まってからの二人の関係の微妙な違い。高山さんが既にスイセイさんを遠くから見ているみたいになっているのがちょっと寂しかった。

 私はこれまで東京で、人というものをきちんと見ていなかったのかな。まわりに漂っている空気みたいなものだけ感じて、好きだとか、嫌いだとか、苦手だとか、自分の我を通してみていたような気がする。
 それはもしかすると、人が怖かったのかも。
 世間も、街も怖くて、感覚を閉じていたのかも。
 そんな気がした。

引用元:帰ってきた日々ご飯⑤

 これを読むと人って絶対にそのままでいられないんだなぁと改めて思う。自分から望んだとしても変わることに伴う不安の波にのまれて間違っているんじゃないかと思ったりする。でもそんな波をも乗り越えてどんなに自信がなかったとしてもなんとなく、たくましく生きていく力が人にはあるって思わせてくれる。

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