映画『ファウンド』

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ノスタルジックなスプラッター映画

  • 原題 : FOUND
  • 監督:スコット・シャーマー
  • 出演:ギャビン・ブラウン, イーサン・フィルベック, フィリス・ムンロ
  • 上映時間 : 1時間42分
  • ジャンル:ホラー映画 (R15)
  • 2012年 (アメリカ)

感想

 11歳の内向的な優等生の少年マーティ。学校ではしょっちゅういじめられている。両親は可愛がってくれてるけど、それもいい子にしているからとマーティは薄々気付いている。兄のスティーヴはクローゼットに生首を隠し持っていて両親と、特に父親と仲が悪い。マーティは時々変わるスティーヴの生首をこっそり眺めては、また元に戻す…
 この映画に出てくる「ヘッドレス」という映画が物凄い強烈で映画全体がスプラッターのように思えるけど、実際はそれ以外は残酷なシーンはほとんどない。それよりもマーティの内面的な誰にも理解してもらえない鬱屈とした気持ちに焦点が当たっている。マーティが車の中一人で涙するところ、唯一の友達にも嫌われて大切にしてた自分で描いたホラー漫画を燃やしてしまうところなどが子供の頃の寂しさ、心細さを思い出させる。「ママは大事なことは聞いてくれない」と大人に幻滅している気持ち。ずっとからかわれ続けたマーティがとうとう相手に殴りかかる。そうすると母親も父親も世間体ばかりを気にしてマーティを一方的に𠮟りつける。それを庇ってくれたのは、兄のスティーヴ。スティーヴは父親と言い争い、暴力をふるい、父親に「出て行け!」と言われてしまう。マーティがいい子をやめた途端、家族は崩壊に向かう。元々危うい家族関係をマーティがいい子にしていたことによってなんとかバランスを保っていたのだと思う。その負担からの解放という意味でスティーヴは言っているのだろう。そこからはスティーヴの狂気の世界が始まる。叫び声だけで見ているこちら側に想像させて恐怖を味わうようになっているところは異様な気分になる。翌朝、爽やかな光の中の強烈なシーンとマーティの落ち着いた語りがなんとも印象に残る。

2023年12月現在、レンタル330円~