キャリー・マリガン主演 おすすめ映画『プロミシング・ヤング・ウーマン』

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甘くポップな世界に包まれた悲壮な復讐劇

原題 : Promising Young Woman
監督:エメラルド・フェネル
出演:キャリー・マリガン, ラヴァーン・コックス, ボー・バーナム
上映時間 : 1時間53分
ジャンル:スリラー
2020年 (アメリカ)

感想

 女優でもある監督のエメラルド・フェネルは、この作品が長編映画デビュー作。脚本も手掛け、アカデミー脚本賞を受賞している。主演のキャリー・マリガンは「華麗なるギャツビー」の可憐なイメージがあったけど、今回はかなりクレイジーな気の強い役。
 
もともとは医者を目指していた「前途有望な若い女性」だったキャシー。現在は、両親と暮らし、コーヒーショップで不愛想な店員として働いている。そして、夜な夜な泥酔したふりをして、そこにつけこもうとする男たちを成敗している。
 自分があの時そばにいれば、幼馴染の友達はレイプされずに死ぬこともなかった…..と10年もの間、自分を責め続けている。

 彼女が男たちを成敗するシーン、亡くなった友達を救おうとしなかった女性たちに復讐するシーンは見ているこちら側は痛快。でもキャシー本人は覇気がなく、いつも苦しそう。そんな中、働いているコーヒーショップで医学部時代の同級生、ライアンに再会。過去を手放し幸せになろうとするんだけど…

 非常に辛くて重い性犯罪問題を扱っているのに甘いパステルカラーの背景の中で描かれている。キャシー演じるキャリー・マリガンもめちゃめちゃラブリーなのに罵倒してきた男の車のフロントガラスを割ったりする破天荒っぷりが最高。
 ライアンと超ハッピーになって両親も「やっと立ち直ってくれた」と安心するんだけど、キャシーが「やっぱり許せない」と思ってしまうことが出てきてしまう。
 彼女みたいに過去に囚われて自責の念に駆られている人ってどうやったら救われるんだろう。周囲の人たちは「過去は忘れて幸せになりなさい」と言うけれど、自分の感情を捨てきれないキャシーの姿を馬鹿にする気には全くなれない。そんなに心を綺麗に整理するのって難しいと思う。
 悲しいお話なんだけど、最後のシーンはたまらなく好き。流れてくる音楽とライアンに送られてくるメッセージ。短いのに彼への愛情で溢れていて泣けてくる。
 甘くてふわふわな世界から鋭く問題を突き付けてくるすごい作品。

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