原題 | My Life Without Me |
監督・脚本 | イザベル・コイシェ |
出演 | サラ・ポーリー, マーク・ラファロ, スコット・スピードマン, アマンダ・プラマー |
上映時間 | 1時間45分 |
製作国 | カナダ・スペイン合作 |
製作年 | 2002年 |
ジャンル | ドラマ |
あらすじ
アンは23歳。家族は失業中の夫と2人の娘。すぐ側にママも住んでいる。パパはもう10年も刑務所にいる。ある日突然、腹痛に倒れて病院で検査を受けると、「あと2ヶ月の命」と宣告される。家族にも誰にも話さない。そう決めたアンは、深夜のカフェで独り、「死ぬまでにしたいこと」リストを作る。それは10項目のリストになった。その日から始まったアンの死ぬための準備。それは同じことの繰り返しだった毎日を生き生きと充実した瞬間に変えていった。しかし、その時は刻一刻と近付いていた・・・。
Filmarks
感想
アン演じるサラ・ポーリーは、大好きな女優さん。『アボンリーへの道』というカナダのドラマでの子役時代から彼女の演技は素晴らしかった。今回は髪をダークな色にしてたので、かなりイメージが違っていたけど、相変わらず美しく魅力的だった。彼女は監督としても活躍していて、第95回アカデミー賞では脚色賞を受賞している。
原題は、「My Life Without Me」で邦題とは少し違う印象を受ける。同じ余命宣告を受け、やりたいことリストをこなしていく有名な映画「最高の人生の見つけ方」とはかなり対照的。彼女の「死ぬまでにしたいこと」リストは、日常に根付いたささやかなもの。
- 娘たちに毎日「愛している」いう。
- 家族でビーチに行く。
- 好きなだけお酒とタバコを楽しむ。
- 思っていることを話す
- 爪とヘアスタイルを変える。
アンは、母親の家の裏庭でトレーラーハウスに夫と二人の娘と住み、大学の夜間清掃の仕事をしている。失業中だった夫もやっと仕事を見つけたばかりで、贅沢などとてもできない生活。余命2か月となってもアンは贅沢など望まない。残される娘たちや夫がなるべく辛い思い出を残さないようにと心を砕き、想いをテープに録音して残す。
この作品は死んでいくアンを殊更ドラマチックに演出したりしてないところが好き。サラ・ポーリーの静かな抑えた演技は、見ている側にアンの本当の辛さを想像させ、感情に訴えかけてくる。
- 夫以外の男の人とつきあってみる。
- 誰かが私に恋に落ちるよう誘惑する。
17歳で初めてキスした人の子供を産んだアン。「死ぬまでにしたいこと」リストを深夜のカフェでひとり書いているアンの姿を、密かに見つめていたのがリー。このリーを演じるのはマーク・ラファロ。マーク・ラファロは「ゾディアック」や「グランド・イリュージョン」で刑事役のイメージが強かったけど、今回はちょっと不器用で一途にアンを想う測量士。ふたりが初めて言葉をかわすのは、コインランドリー。日常的な場所から生まれる奇跡的なつながり。この刹那的恋愛がアンにとってはどんな遠くへ行って贅沢な旅行をするよりも、様々な景色を見て感じることができたのではないかと思う。切な過ぎて涙がでるけど・・・・・。
この映画を見ると、うんざりするような日常の中にあるけど意外に大切なもの。あって当然と思っていても、そうじゃないということ、ついつい忘れがちなことを思い出させてくれる。
日本で公開当時、結構話題になったので見たことがある人も多いと思うけれど、また月日を重ねて再度見てみると、また違った感想を持つと思う。サラ・ポーリーの秀逸な演技を堪能してほしい。
本ページの情報は2023年12月時点のものです。最新の配信状況はU-NEXTサイトにてご確認ください。